2006年4月アーカイブ


asahi.com: 1200度でも硬い新合金 東北大院グループが開発成功 - サイエンス

従来より約100度高い1200度前後でも強度を維持する新合金の開発に、東北大大学院の石田清仁教授(金属組織学)らのグループが成功した。火力発電では燃焼温度が千度前後から100度上がると効率が数%向上するとされ、タービンなど耐熱機器の材料に使えば省エネ効果が期待できる。7日の米科学誌サイエンスに発表する。

現在一般に使われている耐熱合金はニッケル合金ですが、より強い合金を作るために、コバルトにアルミニウムとタングステンを加えた合金がより高熱に耐えうることを発見したそうです。この強さは鋳造後、再加熱により数百ナノメートル四方の原子間の強い結合で結ばれたコバルトの結晶の固まりがきれいに並んでいるためだそうです。今後、大量にこの合金の製造法を探すのが課題となります。

asahi.com: 内臓の左右決定、遺伝子の働きカギ 東京理大教授ら発表 - サイエンス

消化管の曲がる方向など内臓の形の左右が決まるのは、二つの遺伝子の働きがカギとなることを、松野健治・東京理科大教授(発生生物学)らのグループがショウジョウバエで見つけた。ハエなど無脊椎(せきつい)動物だけでなく、人間を含む脊椎動物に共通する可能性もあり、将来の臓器再生技術に向けヒントになりそうだ。6日付の英科学誌ネイチャーで発表した。

生物は様々な器官から出来ていますが、その器官は個体発生時のプログラムによってどの個体も同じ場所にあります。しかし、たまにそのプログラムがおかしくなり、異なった場所に器官が出来てしまうことがあり、その要素を調べることにより個体発生のプログラムが見えてきます。

研究でよく使われているショウジョウバエについて、消化管が左右逆の曲がり方をするという変異のある個体について、遺伝子レベルでの変化をしらべてみたところ、ミオシンというタンパク質をコードする遺伝子2つに突然変異があったそうです。そのため、ミオシンタンパク質がアクチンという細胞繊維に沿って作用する際に消化管の左右を決める何らかのことが行われている可能性があり、個体発生時に消化器の左右の位置を決める大きな要因の一つになりそうです。

asahi.com: 両生類へ進化途中の魚類化石を発見 胸びれに手首関節 - サイエンス

カナダのデボン紀後期の地層(約3億8000万年前)から、両生類に進化する途中の新種の魚類の化石が見つかった。胸びれに、手首にあたる関節があり、前脚が誕生する直前の状態だった。手足がある両生類とひれしかない魚類の間には大きな隔たりがあるが、今回の発見で溝が埋まりつつある。米シカゴ大などの研究チームが6日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

魚類から両生類に進化する過程の生物が見つかったそうです。浅瀬を泳ぐ大きな淡水魚を意味する"ティクタアリク・ロゼアエ"と名付けられた体長最大2.7mのの魚は、胸びれの手首の関節の存在、短い首の存在を示す骨格が存在しているという。浅瀬を泳ぐことでこれらの進化が備わったのだろうか。

asahi.com: 天敵の巻き貝侵入、日本沿岸のアサリ危機 - サイエンス

アサリを食べる巻き貝「サキグロタマツメタ」が近年、日本沿岸の広い範囲で見つかっている。大越健嗣・石巻専修大教授らは、中国大陸や朝鮮半島からもたらされた大陸系とみられる個体が、少なくとも10県に生息することを突き止めた。被害が深刻な宮城県の海岸では今春、3年連続で潮干狩りが中止になり、各地の水産試験場なども警戒を強めている。

もともと"サキグロタマツメタ"は日本にも存在してアサリの食害があったそうですが、ここに来て東京湾や宮城県の東名浜などでおそらく遺伝的に日本産とは違う"サキグロタマツメタ"が繁殖、日本産にないほどアサリを食べ尽くしているそうです。はっきりと外来系と特定できたようではなさそうですが、アサリの食べ方が尋常ではないようなので関係者は外来種と感じているようです。以前は全くいなかったところにも存在するようになったことからも、外来種による生態系破壊ということになりそうです。


<参考>
サキグロタマツメタ 市場魚貝類図鑑
Euspira fortunei [ サキグロタマツメタ ] : 微小貝データベース Microshells Data Base

納豆の粘り成分活用、新型インフルエンザの出現を監視 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

鳥インフルエンザウイルスが変異し、人間社会で流行する新型インフルエンザウイルスに変わることが世界的に懸念されているが、そのウイルス変異の兆候を監視する安価で簡単な検査法を静岡県立大薬学部の鈴木隆教授らがヤマサ醤油(しょうゆ)などと共同で開発した。

ヒトやトリの細胞を用いて直接ウイルスを検知して、ウイルス変異が起こったときにその反応の差でウイルス変異を検出しようとしているようです。ウイルス変異はよく起こることであり、変異ウイルスで抗体に反応しないものでは爆発的な感染が起こりうるために、このような簡易で安価な検出法の開発が必要になっているようです。納豆の粘り成分は細胞をシャーレなどに固定するためのものだそうです。ポリグルタミン酸が成分なのでしょうか。

新種の肝炎ウイルスか、台湾チームがDNA配列発見 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

原因不明の肝炎患者から、未知のウイルスの遺伝子とみられるDNAを取り出すことに、台湾・長庚医療センターの葉昭廷教授らが成功し、米感染症学会誌(JID)に発表した。葉教授らは「まだ病原体とは言い切れない」と慎重だが、新たな肝炎ウイルスの可能性がある。

新たな肝炎ウイルスは原因不明の急性肝炎患者の血液から未知のDNA配列"NV―F"を見つけ、発症時の増殖、回復による減少、抗体の確認などにより、"B型やC型と同じ経路で感染しやすいウイルスのDNA"ではないだろうかと推定しているようです。

都市高温化の主な原因...昼は緑地減少、夜は建物増加 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

都市部の夏の気温が上昇するヒートアイランド現象の原因は、昼間と夜間で異なることが、気象庁の解析で分かった。

要因のうち、昼間は"緑地の減少など土地利用の変化"(水分蒸発による冷却効果)が、夜は"ビルなどの建物の増加"(地表面の放射冷却の阻害)が大きく影響を与え、"人工排熱"の影響はより少なかったという解析結果だそうです。

南極上空で温暖化、冬の気温が急上昇 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

南極大陸の上空5000メートル付近の冬季の気温が、10年に0・7度の割合で上昇していることが、英国の南極調査研究所の解析でわかった。地表付近の気温上昇は世界平均で10年に0・11度といわれており、研究者らは「世界のどこでも記録されたことのない規模の温暖化」として、31日付の米科学誌サイエンスに発表した。

今回新しく判明したのは、上空5000m強の500hPaの対流圏で気温上昇がみられたそうです。しかし対流圏のさらに上空の成層圏では気温は下がっていたそうです。これにより、対流圏にある物質が温暖化の大きな原因になっている可能性がありそうです。

極東ブログさん : 対流圏オゾンのエントリーでは二酸化炭素、メタンに次ぐ第三の重要な温室効果ガスとされている"対流圏オゾン"が紹介されています。光化学スモッグである、自動車や工場から排出される二酸化窒素の太陽光による反応により対流圏オゾン"が出来るそうで、公害も温暖化に関与している可能性のある事例ということになるのかもしれません。

asahi.com: 高級牛肉の生産自在? 霜降り遺伝子発見 京大グループ - サイエンス

牛の肉を「霜降り」状態にするうえで重要な働きを、血管の成長などにかかわる「EDG1」と呼ばれる遺伝子が担っていることを佐々木義之・京都大名誉教授(家畜育種学)らのグループが見つけ、福岡市で3月末に開かれた日本畜産学会で発表した。佐々木さんは「霜降り肉の効率的な生産につなげることができるかもしれない」と話している。

霜降り肉をつけやすい黒毛和牛と乳牛であるホルスタインの成長時の筋肉の遺伝子を調べたところ、第3染色体(BTA3)にあるEDG1の166番目の塩基配列に違いがあるという結果です。霜降りとは筋肉の組織に脂肪が網目状に散らばっているということですが、以前から遺伝子の要素の可能性があったそうです。実際に組織形成の構築にどのように関係しているのだろうか。

<参考>
掬ってみれば無数の刹那 : 霜降り遺伝子

asahi.com: ニコチン、やはり肺がん増殖に関与? 治療薬の働き阻害 - サイエンス

たばこに含まれるニコチンは肺がん治療に使われる抗がん剤の働きを妨げることを、米南フロリダ大の研究チームががん細胞の実験で明らかにした。ニコチン自体は発がん性がないとされるが、がんの増殖に関与しているらしい。米科学アカデミー紀要(電子版)に3日発表される。

ニコチンそのものでも抗ガン剤の効果が低減するという結果が出たそうです。3種類の肺がん用抗がん剤(ゲムシタビン、シスプラチン、パクリタキセル)で調べたそうで、ニコチンにより活性化する二種類の遺伝子産物が抗ガン剤の働きを阻害するようです。たばことガンの新しい関係なのかもしれないです。

asahi.com: 放射線治療の副作用、血液から予測 放医研がシステム - サイエンス

がん患者の放射線治療で、副作用が出るかどうかを患者の血液から予測・判定できるシステムを、放射線医学総合研究所(千葉市)が開発した。約2000人の患者の分析で、わずかな遺伝的特徴の違いが、副作用の指標として使えることが分かったという。今後5年程度で精度を高め、臨床現場で使えるよう、研究を進める計画だ。

放射線を当てることで反応しやすい塩基配列をピックアップして、いくつかのガンに対して副作用が起こりやすいかどうかを判定する方法を見つけているようです。放射線治療は他の治療法に比べ比較的負担が少ないとされているようですが、副作用はどうしても生じてしまうようで、個人によって異なる副作用をあらかじめ知ることにより、効果的な治療が可能になります。ガンの種類によっても反応しやすい塩基配列は異なるものなのですね。

asahi.com: 幹細胞の膜で心筋梗塞治療 ネズミで実験成功 - サイエンス

血管や心筋になる能力がある幹細胞を薄膜状に培養して、心筋梗塞(こうそく)を起こした心臓にはり付け、機能を回復させる治療に、国立循環器病センターや東京女子医大などのチームがネズミを使った実験で成功した。今後、ブタでの実験で安全性などを確認した後、まずは子どもの心臓病治療への応用を研究するという。3日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版で発表する。

心筋梗塞は心臓を動かしている筋肉、心筋に栄養を送っている冠動脈が十分に働かなくなるために、心筋が死んでしまい、心臓の停止に至る死に関わるものです。壊死した心筋を再生させるために、薄膜にした幹細胞を心筋梗塞を起こした部位に貼ることにより、心筋だけでなく血管も再生することができたようです。ネズミの幹細胞で可能になったことから、ヒトへの適用への道を開いています。

<参考>
幹細胞培養、壊死した心臓を再生...ラットの実験で成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

このアーカイブについて

このページには、2006年4月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2006年3月です。

次のアーカイブは2006年7月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。