2006年10月アーカイブ


Press Release - Nobel Peace Prize 2006

The Norwegian Nobel Committee has decided to award the Nobel Peace Prize for 2006, divided into two equal parts, to Muhammad Yunus and Grameen Bank for their efforts to create economic and social development from below. Lasting peace can not be achieved unless large population groups find ways in which to break out of poverty. Micro-credit is one such means. Development from below also serves to advance democracy and human rights.

asahi.com:ノーベル平和賞、ムハマド・ユヌス氏に 貧困解消に尽力 - 国際

ノルウェーのノーベル賞委員会は13日、06年のノーベル平和賞を、バングラデシュの金融機関「グラミン(農村)銀行」とその創設者のムハマド・ユヌス氏(66)に授与する、と発表した。農村の貧しい人々の自立を促そうと、「マイクロクレジット」と呼ばれる無担保少額融資の仕組みを考案し、貧困の脱却に貢献した功績が評価された。

今年のノーベル平和賞はバングラディシュのムハマド・ユヌスさんとグラミン銀行に贈られました。バングラディシュの社会構造も関与する貧困に立ち向かっている功績によるものです。

もともとバングラディシュは人口一人あたりの国内総生産が非常に低く、またガンジス川の大洪水など河口デルタ地帯に特有の不安定な生産基盤のもとにあり、また現在の資本主義経済の理論では貧困から脱却できない社会構造でありました。

貧困層の人々は貧困ゆえに銀行などより将来的な融資は全く受けられず、いくら働いても貧困から脱却できなかったところへ、その取っ掛かりとなる資金を無担保で、ただし村全体の連帯責任を負うことで貸し与えるシステムを持つ銀行"グラミン銀行"を創設した。分け与えられ融資されたお金は、生計の安定化に伴い90%近い割合で銀行に回収された。これは、経済システム"マイクロクレジット制度"として成り立ち、さらに貧困から立ち直らせるシステムとして成り立つことを意味し、その点が注目されたようです。

"返済が伴わない援助は人間の尊厳を傷つけ、人々は自助努力や自己責任を忘れがちになる"というユヌスさんの言葉と貧困から逃れたいという意思が、このシステムの根本にあるように思います。

<参考>
asahi.com:ノーベル平和賞のユヌス氏、出発点は74年の大飢饉 - 国際

The Nobel Prize in Literature 2006 - Press Release

The Nobel Prize in Literature for 2006 is awarded to the Turkish writer Orhan Pamuk

"who in the quest for the melancholic soul of his native city has discovered new symbols for the clash and interlacing of cultures".

asahi.com: ノーベル文学賞、トルコのオルハン・パムク氏 - BOOK

スウェーデン・アカデミーは12日、今年のノーベル文学賞を現代トルコの代表的作家オルハン・パムク氏(54)に授与する、と発表した。トルコ国内でタブー視されているアルメニア人大量殺害を認める発言で国家侮辱罪に問われるなど、反骨の言論活動で知られる作家だけに、トルコ内外に波紋を呼ぶとみられる。

今年のノーベル文学賞は、トルコのオルハン・パムク(Orhan Pamuk)に決まりました。村上春樹も候補に上がっていたそうですが、残念でした。その受賞理由は、

生まれ故郷の街に漂う憂いを帯びた魂を追い求めた末、文化の衝突と交錯を表現するための新たな境地を見いだした

というもので、20世紀の始めにオスマントルコ帝国から近代トルコに変遷する過程で引き起こされたとされるアルメニア人大量殺害やクルド人独立問題、イスラム社会と世俗というトルコが抱えタブー視されている問題に切り込んでいます。

また、こちらでも掲載されているように、近年の西欧とイスラムの価値観の乖離による大きな摩擦を重要視し、歴史的にトルコという国がイスラム側と西欧側の橋渡しという位置に存在するために、オルハン・パムクさんのテーマはよくその姿を示しているという側面もあるようです。

冷戦後、資本主義圏と共産圏の対立から、イスラムとの対立に変化してきた世界構造の変化を微妙に受けた今回の受賞であったとの位置付けになるのでしょうか。

<参考>
ノーベル賞 パムク氏 西欧側に「橋」を渡ってきた人 : 出版トピック : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

<オルハン・パムクさんの本>

雪
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記憶力:「フィセチン」摂取で向上? 動物で確認-サイエンス:MSN毎日インタラクティブ

野菜や果物に広く含まれるフラボノイドの一種「フィセチン」を摂取すると、記憶力が向上することを、武蔵野大(西東京市)と米ソーク研究所の共同チームが動物実験で確認し、16日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。フィセチンはイチゴに多く含まれているが、「人への効果はこれから調べる」としている。

記憶が良くなる物質の候補として、"フィセチン"という分子を見つけたという報告です。"フィセチン"というのはポリフェノールもその仲間の抗酸化作用を持つフラボノイドの一種で、植物、特に苺に多く含まれている物質だそうです。

実験は、大脳の中で記憶に関与する海馬の領域に、相当な量のフィセチンを含んだ溶液を染み込ませ、細胞レベルでの記憶増強に関わる分子の活性化が見られ、さらに生きたマウスにフィセチンの溶液を飲ませることにより、記憶が良くなったというものです。

動物レベルでの確認なので未だ解りませんし、この実験で用いたフィセチン量はかなりだったそうなので、もしヒトに効くようならば人工的にかなり濃縮したものを持ちいることになるのでしょうか。

50代母、30代娘の卵子で「孫」を代理出産...国内初 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

子宮を摘出して子どもを産めなくなった30歳代の女性に代わり、この女性の卵子を使って女性の50歳代の母親が妊娠、出産していたことを、実施した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が14日、明らかにした。

これは昨夜のTBS"ニュース23"でも取り上げており、根津院長と厚生労働省の女性の方が出演して、生で議論を戦わせていました。

根津院長は、世界では既成の方法である点、向井さんの代理母訴訟が社会的に話題になっている点を挙げ、今回の公表に踏み切ったそうです。厚生労働省の方は、出産は女性にとても大きな負担を与え、心身的にも倫理的にも問題がある方法、と話されていました。また、産婦人科学会は、早急に法整備を望む意見を関連委員会に提出しているようです。

この代理母問題は、アメリカではビックビジネスになっていることが大きな問題点であり、母体に関連した危険性やトラブルが非常に起っています。しかし、今回のように心から子供が欲しく肉親を代理母にしているような、ビジネスで無い、本来求められている切実なケースは、すでに方法が確立している中で、無視できなくなってきているのではないでしょうか。

日本としてきちんと早急に法律を定めていかなければ、多くがアンダーグラウンドへ潜り、更に多くの危険が出てくる可能性がありそうで、とても重要な問題のように感じました。アメリカの実例というものがせっかくあるので、それを土台にみんなが幸せになれるような法律を考えてもらいたいです。

免疫力高める乳酸菌発見...熊本県立大と大塚製薬 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ウイルスや細菌などの病原体が、口や鼻から感染するのを防ぐ機能を高める新しい乳酸菌を発見したと、熊本県立大と大塚製薬の共同研究グループが14日、札幌市で開かれた日本消化器関連学会で発表した。

乳酸菌により免疫力が高まるという報告は以前にもあったような感じがしますが、今回は"ある種の発酵茶から採取した乳酸菌"という以前は知られていなかったものに有効性があるようです。この乳酸菌を摂取することにより、IgAという母乳にも含まれる免疫物質(免疫グロブリン)が唾液中で増えるという臨床的なデータを得られたようです。

asahi.com: 最も重い新元素を生成 米ロの研究グループ - サイエンス

米ローレンスリバモア国立研究所は16日、陽子118個を含むこれまでで最も重い新元素の生成に成功した、と発表した。ロシアの原子核合同研究所との共同研究。加速器を使ってカルシウムのイオンを高速で飛ばし、カリホルニウムにぶつけてつくった。米物理学会の専門誌フィジカル・レビューの10月号に研究成果が掲載された。

元素は原子核の中に幾つ陽子があるかということで原子番号が定められるようですが、今まで知られている中で最も数の大きい118個の陽子を持つものを作り出したようです。といっても、この新しい元素はおよそ10,000分の9秒しか持たなかったようで、カルシウム(20番)とカリホルニウム(98番)を衝突させ、陽子118個、中性子176個の粒子を3個確認したようで、すぐに116番の元素に変わったそうです。

現状で名前のついている元素で一番大きいものはレントゲニウムの111番で、112,113,114,115,116,そして今回の118番が確認されたそうです。また、自然界で一番大きな元素は92番のウランだそうで、それ以上のものは人工的に作られたもののようです。

<参考>
一家に1枚周期表の請求方法 : 科学技術週間
  日本人のノーベル受賞者の写真が入ったきれいな周期表をダウンロードできます。

asahi.com: 日本の猛暑予測に道 インド洋の海水温変化 - サイエンス

西日本に猛暑をもたらすとされるインド洋の大規模な海水温度変化を予測することに、東京大の山形俊男教授らのチームが成功した。太平洋東部の海面水温が高くなる「エルニーニョ(神の子)」に匹敵する現象で、インド洋の東部の海水が冷たく、西部が暖かくなる。日本のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使い、昨年11月の時点で今夏の発生をぴたりとあてた。

インド洋で起こる強風が、東アジアやアフリカの気候変動に影響を与えた証拠を掴んだという報告です。"インド洋ダイポールモード(IOD)現象"というインド洋東部(インドネシア付近)で起こる南東の風はインド洋に対流をさせる為か、人工衛星で海水温度を記録すると風が吹き始めるとインド洋西部でより高い温度の海水に、反対にインド洋東部ではより低い海水の領域が発生し、確かめられたということです。

この"ダイポールモード現象"は昨年より予測され、現象が確かめられると共に、実際に西日本で酷暑が続いたというものです。また、オーストラリアの旱魃、東アフリカの多雨に関連があるとされています。

<参考>
日本の猛暑に影響、インド洋版エルニーニョの予測成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

土星に「新たな輪」3本...米探査機が発見 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

米航空宇宙局(NASA)は11日、米探査機カッシーニによる観測で、土星の輪が新たに3本見つかったと発表した。土星には、大きな輪が7本あることが知られている。今回は、このうち最も外側にあるE環のさらに外側に1本が見つかった。また、内側から3本目(B環)と4本目(A環)を隔てる「カッシーニのすき間」という場所には多数の小環が知られているが、ここでも新しい小環2本が確認された。

土星の輪というものはおもしろいようで、カッシーニによる観測でいろいろなことが発見されているようです。以前から知られていた、土星の大きな7本の輪の他に、F環とG環の間、E環のさらに外側、B環とA環の間(カッシーニの隙間)で新しい小環を見つけている様子です。

<参考>
土星の環は安定? : 暦と星のお話
NASA - Cassini-Huygens: Close Encounter with Saturn : NASA
  カッシーニからの写真!

重症の未熟児網膜症、早期手術で8割が失明回避 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

重症の未熟児網膜症の新生児に対し、病状が悪化する早期に眼球手術を行い、8割以上で失明を回避することに、国立成育医療センター(東京都世田谷区)の治療チームが成功した。失明の原因となる網膜剥離(はくり)を防ぐ手法で、日常生活に困らない視力が望めるなど治療効果が生まれている。

未熟児網膜症という小児の失明の原因で多くを占める病気があり、その原因は網膜を養う血管が硝子体で形成されてしまい、失明を引き起こしてしまうとされています。以前は増殖する血管周辺のレーザー光による凝固や、病変部を取り除く硝子体手術を行っていたのですが、視力はほとんど戻らないところ、この方法では硝子体への血管の浸潤を防ぐ手立てをすることにより、失明を防ぐようです。

どうやって乗る?高さ4mのラクダ...10万年前だけど : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

背の高さが約4メートルもある巨大なラクダの化石がシリア中部の約10万年前の地層で発見された。現在のラクダの2倍近い大きさで、ゾウやキリン並みの体格。発掘したスイスとシリアの合同チームは「これほど大きなラクダの化石は例がない」と驚いている。

未発見のヒトコブラクダの種のようで、関節の保たれた40の骨が見つかったようです。発見したシリア中部ではネアンデルタール人と思われる化石も見つかっており、体長4メートルのラクダに立ち向かう原始人の狩猟を想像してしまいます。

asahi.com: サクラ異変 葉っぱ虫食い丸坊主 毛虫大発生か - サイエンス

都心の街路樹や公園のサクラの木が、落葉を前に次々丸坊主になっている。葉脈だけを網目のように残した葉ばかりがついている木も多い。例年なら10月下旬に散るはずが、今年はいったい何が起きたのか。

今年のサクラの木に付く害虫が多く発生しており、日比谷公園や都立神代植物公園などで葉脈のみの葉が残っていたり、落ち葉が多かったりしているようです。害虫にはアメリカシロヒトリやモンクロシャチホコなどいるようですが、今回はモンクロシャチホコやハバチの一種が関与しているようです。こんな害虫が増える時は天敵も増えるようで、うまくできているようです。

<参考>
モンクロシャチホコ(紋黒天社蛾) : おしゃべりな部屋 (プラネタリウム,星,植物,熱帯魚,統計学)

asahi.com: 最小ゲノムの細菌、理化学研究所が発見 - サイエンス ゲノム(全遺伝情報)が最も小さい細菌を理化学研究所の中鉢淳・客員研究員らが見つけ、13日付の米科学誌サイエンスで発表する。これまでの最小記録の3分の1の長さしかなかった。

このゲノムが一番小さい細菌は、カルソネラという細菌で北米に住むキジラミという昆虫に寄生しているようです。長さは160,000塩基、たんぱく質をコードする遺伝子は182種類だそうです。ヒトが3,000,000,000(30億)塩基なので、本当に小さいです。これで満足に生活できるかというとそうではなく、共生しているキジラミに依存しており、また、キジラミに遺伝子を移した可能性もあるようです。

食欲抑制たんぱく質:群馬大大学院のグループが発見 肥満解消の効果実証-科学:MSN毎日インタラクティブ

群馬大大学院の森昌朋教授(病態制御内科学専攻)らの研究グループは、摂食やエネルギー代謝を制御する脳の視床下部に直接働きかけて食欲を抑制するたんぱく質「ネスファチン1」を発見した。動物実験で皮下脂肪型と内臓脂肪型の両方の肥満の解消効果を実証しており、研究結果は2日付の英国の科学誌「ネイチャー」電子版で発表する。

食欲を抑制する因子として、脂肪細胞が分泌する"レプチン"というたんぱく質のほかに、脳の細胞が分泌する"ネスファチン1"というたんぱく質も、"レプチン"と同様に脳の視床下部に作用し食欲を抑制するという報告です。食べなくなるということで、皮下・内臓脂肪の低下につながるということですね。

たんぱく質異常:認知症FTDと難病ALSで共通--欧米3カ国のグループ解明-科学:MSN毎日インタラクティブ

 認知症の一つで前頭側頭葉が萎縮(いしゅく)するFTDと、筋肉が次第に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の神経細胞で共通したたんぱく質の異常があることを、欧米3カ国の研究グループが初めて発見した。新たな治療法の開発につながると期待されるほか、アルツハイマー病など他の神経難病との関連性も注目される。6日の米科学誌サイエンスに掲載される。

FTDは認知症、ALSは筋萎縮性の硬化症、この両者は"TDP-43"という核内たんぱく質の細胞内での局在が核外の細胞質に漏れることによって、機能しなくなっているということを示しました。共に神経細胞で働いているたんぱく質で、働いている神経細胞がどの部位なのかにより発症が変わってくるようです。

The Prize in Economics 2006 - Press Release

The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 2006 to

Edmund S. Phelps
Columbia University, NY, USA

"for his analysis of intertemporal tradeoffs in macroeconomic policy".

asahi.com:ノーベル経済学賞は米のフェルプス氏 - 国際

 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、06年のノーベル経済学賞を、米コロンビア大教授のエドムンド・フェルプス氏(73)に贈ると発表した。財政出動や金融緩和で需要を喚起すれば失業を減らせるとしていた、かつてのマクロ経済理論の限界を指摘し、経済政策に強い影響を与えたことが評価された。賞金は1000万クローナ(約1億6000万円)で、授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。

今年のノーベル経済学賞は、コロンビア大のエドムンド・フェルプス教授で、失業率とインフレ率に対する経済政策において、マクロ経済学において相反されるとされる"フィリップス曲線"の存在の否定を証明し、労働市場の動向のみに影響されるとして、失業率とインフレ率共に低減を目指さなければいけない経済政策に可能性をもつという理論に対するものでした。

どうやってインフレーションによる失業を無くそうか、或いは最小限にしようかとした時、1976年にノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンと共に、完全雇用状態を作るのではなく、インフレ率をとても低い状態に安定化することで、失業率は"完全雇用失業率"まで低下するだろうという概念を提唱したようですね。

それがマネタリスト学派、即ち、インフレーションは貨幣的現象であり、両者は比例関係にあり、政策的にコントロールできるものだ、というところが根幹にあるようです。

<参考>
Economics 2006 : Nobelprize.org
完全雇用 - Wikipedia

asahi.com: C型肝炎ウイルス、どう増える 阪大教授ら仕組み解明 - サイエンス

C型肝炎ウイルス(HCV)が細胞内の特定のたんぱく質と結びついて増殖する仕組みを大阪大学微生物病研究所の松浦善治教授(分子ウイルス学)らが解明した。この結びつきを阻害する化合物を見つければ、ウイルスを直接攻撃しないため、薬が効かない耐性ウイルスができにくい薬の開発につながるという。独科学誌「EMBOジャーナル」(電子版)に5日、発表した。

基本的にウイルスは寄生体で、宿主となる細胞に感染することによって、その細胞の中の仕組みを利用しながら増殖し、細胞を破壊して他の細胞に感染する形態を取っていると言われています。

そのなかでこの報告は、ウイルス(HCV)のたんぱく質が感染した細胞の中で、特定のたんぱく質(FKBP8)と結合することで、ウイルスの増殖を促す"分子シャペロン"に付くことができるため、このFKBP8を無くすると"HCVのたんぱく質は分子シャペロン"に結合されず、結果としてHCVは増殖できなくなるようです。

このような細胞の中で働く仕組みを利用する部分は、ウイルスのとても早い変異によって影響されにくいと考えられ、松浦教授の話している"耐性の心配の少ない薬剤"の開発の可能性を含みます。

The Nobel Prize in Physics 2006

The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the Nobel Prize in Physics for 2006 jointly to

John C. Mather
NASA Goddard Space Flight Center, Greenbelt, MD, USA,

and

George F. Smoot
University of California, Berkeley, CA, USA

"for their discovery of the blackbody form and anisotropy of the cosmic microwave background radiation".

asahi.com: ノーベル物理学賞は米の2氏 電波「背景放射」を観測  - サイエンス

スウェーデン王立科学アカデミーは3日、今年のノーベル物理学賞を、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターのジョン・マザー上席研究員(60)と米カリフォルニア大バークリー校のジョージ・スムート教授(61)に贈ると発表した。人工衛星を使った宇宙の電波観測でビッグバンの直接証拠をとらえ、銀河の「種」となる温度のゆらぎを発見したことが評価された。賞金は1000万クローナ(約1億6000万円)で2人で分ける。授賞式は12月10日、ストックホルムである。

今年のノーベル物理学賞はNASAのジョン・マザー上席研究員、カリフォルニア大バークリー校のジョージ・スムート教授に決まりました。

彼らは、ビッグバン理論の証拠となる、ビックバンによって生じ現在も存在しているといわれていた"宇宙背景放射"を人工衛星"COBE"で捉え、ビッグバン理論を確かにすることとなった。さらにその観測の詳細は、宇宙背景放射は-270℃であることの他に、方向性により"ゆらぎ"があり、そのために宇宙物質密度の不均一化を招き、星や銀河の誕生させる結果を示すことができたようです。

理論が主だった宇宙の進化過程を、このような形で理論から実証していく先駆けとなる仕事のようだったようです。

<参考>
Physics 2006
2006年のノーベル自然科学三賞発表 : StarChartLog

Press Release: The Nobel Prize in Chemistry 2006

The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the Nobel Prize in Chemistry for 2006 to

Roger D. Kornberg
Stanford University, CA, USA

"for his studies of the molecular basis of eukaryotic transcription".

asahi.com: ノーベル化学賞 「転写」の仕組みの米国人研究者に - サイエンス

スウェーデン王立科学アカデミーは4日、06年のノーベル化学賞を、米スタンフォード大のロジャー・コーンバーグ教授(59)に贈ると発表した。授賞理由は、真核生物における遺伝情報の転写の基礎的研究。賞金は1千万クローナ(約1億6千万円)で、授賞式は12月10日にストックホルムである。

今年のノーベル化学賞は、ロジャー・コーンバーグ教授が受賞されました。その受賞された仕事は、遺伝情報の倉庫であるDNAから、細胞内活動での実際働く道具であるたんぱく質を生み出す変換過程の役割を果たしている"RNAポリメラーゼ"というたんぱく質酵素に注目し、その正確で複雑に働く仕組みを原子レベルの構造で明らかにしています。医学生理学賞と近い分野の研究ですが、より基礎的な生命現象を化学賞は選びました。

この"RNAポリメラーゼ"は、正確にDNAの情報を写し取り、DNAの設計図の写しである"mRNA"をたんぱく質を製造するリボソームまで届ける過程の中で、DNAからmRNAを作る役割を果たし、その過程をDNAの情報を写し取ることから、"転写(transcription)"と名づけられています。

この"RNAポリメラーゼ"の重要性は、"DNA"->"mRNA"->"たんぱく質"(->"生命機能")という分子生物学の中央命題(セントラルドグマ)と位置付けらている、ほとんどの生物の生命現象に普遍的で最も基本的な役割を果たす、実行者の一つであるというところです。

また、ロジャー・コーンバーグ教授の父親も"DNA"を合成、複製させる酵素"RNAポリメラーゼ"発見の業績で1957年にノーベル医学生理学賞を受けたアーサー・コーンバーグであり、兄弟も生命科学者という研究者一家ですね。

<参考>
Chemistry 2006 : Nobelprize.org
  Roger D. Kornbergの写真があります。
ノーベル賞:化学賞、米教授のコーンバーグ氏に 遺伝情報転写を解明-科学:MSN毎日インタラクティブ

Press Release: The 2006 Nobel Prize in Physiology or Medicine

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has today decided to award

The Nobel Prize in Physiology or Medicine for 2006

jointly to

Andrew Z. Fire and Craig C. Mello

for their discovery of

"RNA interference - gene silencing by double-stranded RNA"

asahi.com: ノーベル医学生理学賞、「RNA干渉」発見の米2氏に - サイエンス

スウェーデンのカロリンスカ医科大学は2日、今年のノーベル医学生理学賞を、米スタンフォード大学のアンドルー・ファイアー教授(47)と、米マサチューセッツ大学医学部のクレイグ・メロー教授(45)に贈ると発表した。生体内でDNAとともに遺伝情報を担うリボ核酸(RNA)が遺伝子の働きを抑える「RNA干渉」という現象を見つけたことが評価された。賞金は1000万クローナ(約1億6000万円)で、両氏で折半する。授賞式は12月10日、ストックホルムである。

今年のノーベル医学生理学賞は、"RNA干渉"というたんぱく質など実効的機能分子の生成を不活化させる現象を発見した、スタンフォード大学のアンドルー・ファイアー教授、マサチューセッツ大学医学部のクレイグ・メロー教授が受賞されました。この技術は比較的新しく、その効用が短期間で実用レベルまで達していることを示しています。

設計図である"DNA"から、その写しである"m(メッセンジャー)RNA"を介して、"たんぱく質"が生成され、多種多様な"生命機能"がもたらされるいう、分子生物学の中央命題(セントラルドグマ)と位置付けらている、ほとんどの生物の生命現象に普遍的で最も基本的な役割を果たす仕組みの中で、特定の"mRNA"を不活化させることにより、異常または過剰に働く"たんぱく質"の働きを抑え、それによって悪く働いていた"生命機能"を回復させようという、応用範囲の広い背景となっています。

具体的には、"mRNA"は二本のらせん構造からなっている"DNA"と比べ一本の構造であるのですが、"mRNA"は"DNA"の鋳型であるため、"mRNA"にあわせた鋳型のもとを作成・結合させ二本鎖にすることにより、"mRNA"として機能させなくするというのが"RNA干渉"の実効的な作用となります。

特定のものを状況によって不活化させるという様々な病気に適用できそうな、将来的にも有用な原理を今年のノーベル医学生理学賞は選びました。

<参考>
Medicine 2006 : Nobelprize.org
  アンドルー・ファイアー教授、クレイグ・メロー教授の写真。カラー写真なのが若い世代を感じます。

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